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当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

執筆者の写真tkk-lab

Q643.EU RoHS指令におけるPack27とPack22について

2024年04月12日更新

【質問】

EU RoHS指令でPack27のパブコメが行なわれました。 Pack22と重複しているようですが、Pack22は廃案になるのでしょうか。 ご教示ください。

 

【回答】

Pack27にはPack22の内容も一部重複していますが、Pack22の内容が全て破棄されるわけではありません。


RoHS(Ⅱ)指令1)において適用除外用途については、それぞれ有効期限が決められており、その期限到達18ヶ月前までに利害関係者から延長申請を行うことにより、更新の検討が行われます。 手順としては、入札により決定された委託機関により、技術審査が行われます。 いくつかの項目をまとめてPack○○と呼ばれる調査プロジェクトとされ、調査、意見募集、コンサルテーションが行われ、最終報告書にまとめられて欧州委員会に提出されます。 欧州委員会はその報告書を基に法案を作成し、採択されると有効期限の延長や適用除外用途からの削除が決まります。


Pack22は合金中の鉛に関するもので、委託を受けたOeko-instituteが2022年1月に最終報告書2)を提出し、一部は以下のように延長が認められない勧告がなされました。


6(a) 合金成分として、機械加工用の鋼材に含まれる重量比0.35 % までの鉛、および亜鉛メッキ鋼材に含まれる重量比0.35 %までの鉛

(有効期限)

・カテゴリー8の体外診断用医療機器については、2023年7月21日まで

・カテゴリー9の産業用監視・制御機器とカテゴリー11については、2024年7月21日まで


6(a)-Ⅰ合金成分として、機械加工用の鋼材に含まれる重量比0.35 % までの鉛

(有効期限)

・全カテゴリーで2024年7月21日まで有効


6(b)-Ⅰ鉛含有アルミニウムスクラップのリサイクルから生じるアルミニウム中に合金成分として含まれる重量比0.4%までの鉛

(有効期限)

・全カテゴリーで決定後12ヶ月後まで有効


6(b)-Ⅱ機械加工用のアルミニウムに合金成分として含まれる重量比0.4%までの鉛

(有効期限)

・全カテゴリーで決定から18ヶ月後まで有効


6(b)-Ⅳ機械加工用のアルミニウムの合金成分として含まれる重量比0.4%までの鉛で、カテゴリー1 EEE(大型家電製品)に適用されるガスバルブに含まれるもの

(有効期限)

・2024年12月31日まで有効


7(a) 高融点はんだに含まれる鉛(すなわち鉛を85重量%以上含む鉛ベースの合金)(適用除外 24 の範囲に含まれるものを除く。)

(有効期限)

・RoHS(Ⅱ)附属書Ⅲの適用除外 24 以外のすべてのカテゴリーについて、2024年7月21日まで有効。


7(c)-Ⅰ電気電子部品中のコンデンサ中の誘電体セラミック以外(例えば圧電素子)のガラスまたはセラミック、またはガラスまたはセラミックを母材とする化合物中に含まれる鉛

(有効期限)

・全カテゴリーで2024年7月21日まで有効


これに対して反対意見が提出され、その反対意見が妥当であるかをPack27で検討することになりました。 そのため、EUのRoHS適用除外のサイト3)のPack22の項目には「Pack 22 の免除申請について最終決定を下すには、同じ適用除外エントリの申請が部分的にカバーされるため、Pack 27 に基づく評価を完了する必要があります。 その後、欧州委員会は法案を作成し、これもパブリックコンサルテーションの対象となります。」と記載されており、Pack27の適用除外申請のサイト4)には重要な注意点として「このPack27の多くの適用除外は、すでに2021年と2022年に見直されています。 欧州委員会(COM)は、今回の見直しラウンドにおいて、カテゴリー8、9、11のEEEに適用されるこれらの以前のレビューの勧告の採用に反対する第5条(1)(a)に沿った実質的な理由があるかどうかを評価したいと考えています。 制限物質の代替または排除に関する科学的および技術的地位の完全な再評価は、これらの免除の見直しの一部ではありません。」と書かれています。 すなわち、反対意見が適用除外の要件であるRoHS第5条(1)(a)(以下の3条件(①代替技術が科学的、技術的に実現不可能、②代替品の品質が保証できない。③代替品の安全上の悪影響が利点を上回る。)のいずれかに該当する)を満たしているかを再審査し、一から技術的調査を行うものではないということです。 Pack27の結果により上記の有効期限の短縮が勧告された項目について見直される可能性があります。 それ以外のPack22で5年の延長が認められた項目(6(a)-Ⅱ、6(b)-Ⅲ、6(c)、7(a)後半)については変更ないと考えられます。


(参考)

1)RoHS(II)指令(2011/65/EU)


2)Pack22最終報告書


3)EU RoHS指令の施行:免除手順、期間、評価調査など、RoHS 指令の実施に関する情報


4)Pack27の適用除外申請

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