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当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

執筆者の写真tkk-lab

Q635.Pack22の内容とELVの除外用途との相違に関する整合の動きについて

【質問】

Pack22の内容とELVの除外用途との相違について整合をはかる動きはあるのでしょうか?

 

【回答】

RoHS指令1)のPack22の内容と、ELV指令の除外用途との相違に関する整合の動きについては、今のところ具体的な指令の改正の動きは見られません。


欧州における化学物質管理への最初の戦略的アプローチから18年たち、EUの化学政策の新しい長期ビジョンを描かれ、安全で持続可能な製品と生産方法への投資を誘致することを目的として、業界の変革のための明確なロードマップとタイムラインが提案されています。 そのような考えにより、RoHS指令やREACH指令、ELV指令などの規制などは、欧州グリーン・ディールの考え方に基づき、EU委員会により発表された「毒性のない環境に向けた持続可能性のための化学物質戦略」2)により、将来的に統合される可能性があります。


Pack22の内容

2022年1月13日のEU委員会が委託した調査会社(Oeko-Institut e.V.)により、Pack22と呼ばれる9個の適用除外のアセスメントの最終報告書2)が発表されました。 内容としては、Pack22 は RoHS 指令Annex III に収載され、有効期限がすでに経過している 9 種の適用除外用途を対象に見直し内容が勧告されています。 このうち、6(c)および 7(c)-II については、現状のまま、5 年間延長する内容となっています、残りの適用除外用途については、用途の細分化や文言の変更等が図られています。 なお、6(b)の更新申請については、現状のまま変更は行われていません。


以下に、勧告された内容、有効期限と範囲を記載します。


勧告された内容

Annex III, 6(a) and 6(a)-I

6(a): 重量比で 0.35 % までの鉛を含む機械加工用鋼および重量比で 0.35 % までの鉛を含む亜鉛めっき鋼中の合金元素としての鉛

6(a)-I: 重量比で 0.35 % までの鉛を含む機械加工目的の鋼の合金元素としての鉛

6(a)-II: 重量比で 0.2 % までの鉛を含むバッチ式溶融亜鉛めっき鋼部品の鉛

有効期限と範囲

6(a):カテゴリー8の体外診断用医療機器については、2023年7月21日まで有効

カテゴリー9の産業用監視・制御機器とカテゴリー11については、2024年7月21日まで有効

6(a)-I: 全カテゴリーで2024年7月21日まで有効

6(a)-II: 全カテゴリーで2026年7月21日まで有効


勧告された内容

Annex III, 6(b)/6(b)-I

6(b)-I:。鉛を含むアルミニウムスクラップのリサイクルから生じたアルミニウム中の合金元素としての重量比で 0.4% までの鉛。

6(b)-III:ただし、鉛を含有するアルミニウムスクラップのリサイクルから生じた、重量比で 0.3%のアルミニウム鋳造合金中の合金元素としての鉛

有効期限と範囲

6(b)-I: 全カテゴリーで決定後12ヶ月後まで有効

6(b)-III: 全カテゴリーで2026年7月21日まで有効


勧告された内容

Annex III, 6(b)-II

6(b)-II: 機械加工を目的としたアルミニウムの合金元素として重量比で 0.4 % までの鉛。

6(b)-IV: カテゴリー 1 EEE (大型家庭用電化製品) に適用されるガスバルブの鉛含有量が重量比で 0.4 % までの機械加工目的のアルミニウム合金元素としての鉛


有効期限と範囲

6(b)-II: 全カテゴリーで決定から18ヶ月後まで有効

6(b)-IV: 2024年12月31日まで有効


勧告された内容

Annex III, 6(c)

6(c): 重量比で最大 4% の鉛を含む銅合金

有効期限と範囲

6(c): 全カテゴリーで2026年7月21日まで有効


勧告された内容

Annex III, 7(a)

高融点はんだ中の鉛(鉛を重量比比85%以上含む鉛基合金)(適用除外項目の Annex III の24に該当するものを除く1))

特殊の用途に使用される高融点タイプのはんだ(鉛を重量比比 85% 以上含む鉛基合金)中の鉛(適用除外 項目の Annex III の24に該当するものを除く1))。

有効期限と範囲

最初の項:本付属書 適用除外 24 以外のすべてのカテゴリーについて、2024年7月21日まで有効。

第2項目目: 本付属書 適用除外 24 以外のすべてのカテゴリーについて適用され、2026年7月21日まで有効。


勧告された内容

Annex III, 7(c)-I

7(c)-I: 電気電子部品中のコンデンサ中の誘電体セラミック以外(例えば圧電素子)のガラスまたはセラミック、またはガラスまたはセラミックを母材とする化合物中に含まれる鉛

7(c)-V:ガラスまたはガラスマトリックス化合物中に鉛を含む電気および電子部品で 特殊の機能を果たすもの

有効期限と範囲

7(c)-I: 全カテゴリーで2024年7月21日まで有効

7(c)-V: 全カテゴリーで2026年7月21日まで有効

7(c)-VI: 全カテゴリーで2026年7月21日まで有効


勧告された内容

Annex III, 7(c)-II

7(c)-II: 定格電圧 125 V AC または 250 V DC 以上のコンデンサ内の誘電体セラミック中の鉛

有効期限と範囲

7(c)-II: 本附属書の7(c)-I及び7(c)-IVに該当する申請には適用されません。

全カテゴリーで2026年7月21日まで有効


ELV指令4)(2000/53/EC)との相違

ELV指令AnnexIIとRoHS指令のAnnex IIIの適用除外用途の相違点は、禁止対象物質について、鉛を含むバッチ溶融亜鉛めっき鋼部品に含まれる鉛においてELV指令AnnexIIの1(a)では重量比 0.35%、RoHS指令のAnnex IIIでは6(a)-Iでは重量比 0.2%となっています。

また、ガラスに鉛を含む電気および電子部品において、ELV指令AnnexIIの10(a)では、バルブのガラスとスパークプラグのガラス、およびELV指令AnnexIIの10(b)、10(c)および10(d)の部品の誘電体セラミック材料の鉛の使用が不適用になっていますが、RoHS指令のAnnexIIIの 7(c)-Iでは不適用の記載はありません。


ELV指令の動向といたしまして、EU委員会が改正の準備をおこなっており、2021年10月26日まで意見聴取がなされて、2022年12月までに発表される予定でしたが、今のところ公式発表はありません。


RoHS指令 1)


毒性のない環境に向けた持続可能性のための化学物質戦略 2)


Pack22と呼ばれる9個の適用除外のアセスメントの最終報告書 3)


ELV指令 4)



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