2022年11月18日更新
【質問】
英国政府より意見募集されたRoHS適用除外(UKCA)の申請費用に関する課金について教えてください。 この提案が採択されれば申請の単位はどのような形になるのでしょうか。
【回答】
2022年7月にUK RoHS規則の適用除外の申請費用に対する課金に関する法案(1)が英国政府より提出され、意見募集(2)が行われました。 この法案は、従来と同様に申請人に関係なく用途毎に適用除外が定められます。 誰でも申請は可能ですが、上記意見募集では業界団体としての申請を想定しています。 個別企業からの申請よりも業界団体としての申請が増えると考えられます。
2020年1月31日に英国がEUを離脱し、離脱協定により英国内でのEU法の適用は2020年12月31日で終了しました。
RoHSはEU指令ですので加盟各国が国内法を制定する必要があり、英国内でも2012年に「電気・電子機器における特定有害物質の使用の制限規則(2012 No.3032)(3)が制定されています。 この法律もEU離脱に伴い文言等の修正が行われましたが(4)、基本的な内容に変わりはなく、EU RoHSと規制内容は同一です。 しかし、CEマークの使用は2022年12月31日までで、それ以降はUKCAマークの貼付が義務付けられます。 なお、北アイルランドはアイルランド議定書により引き続きEU法が適用され、UK RoHSの適用はグレートブリテン島内(イングランド、ウェールズ、スコットランド)に限られます。
規制内容は同一ですが、様々な手続きも英国単独で行わなければならなくなりました。 中でもRoHSの適用除外の付与、更新、および取り消しについては手間もコストも大きな負担となりました。 適用除外とは、制限物質を含むものの、技術的、科学的に代替が不可なものを期限付きで認めたもので、用途、使用量、期限が詳細に定められています。 期限は医療用機器、監視・制御機器は7年、それ以外は5年で、期限を延長するためには期限到達の18ヶ月前までに更新申請を提出する必要があります。 EU RoHSでは附属書3、4に適用除外項目ごとにカテゴリー、用途、条件、期限が記載されています。 UK RoHSでも、番号は整理し直されていますが同じ内容が「Schedule A2」(5)にまとめられています。 UKにおける適用除外の申請手続きは、英国政府のサイトに「UK RoHS適用除外の申請方法ガイド」としてまとめられています。(6)
EU離脱により適用除外申請の対応を英国一国で行わなければならなくなったため、その財政負担を軽減する目的で、前述したように適用除外の申請に対して申請者に課金するという法案が2022年7月に提出され、それに対する意見募集が7月12日から8月23日まで行われました。 この法案では、それまでの費用の実績等から申請者に£39,721(本回答執筆時点で約680万円相当)を課すというものになっています。 この金額に対して上記意見募集の文書中では以下のようなコメントがあり、事業者負担は大きくないとしています。
・2021年1月の移行期間が終了して以来、新しい免除の申請は1回しか受け取っておらず、年間5〜6件以上の応募は見込んでいない
・現在のEU RoHS指令は約10年前に採択され、業界は物質制限に大きく適応している
・免除の申請は、会員に代わって業界団体によって定期的に行われるため、発生した費用を特定のセクターで事業を行っている複数の企業に分散させることができる
・申請は最長5年間(医療機器の場合は7年間)行われるため、コストは数年にわたって償却できる
今回の意見募集に対して、54の意見が寄せられ、その意見の内容のまとめと政府の対応についてのレポート(7)が2022年10月に公表されました。 54件中53件がこの法案に反対でしたが、政府は原案通りに法案を採択し、2023年4月6日から施行される予定となっています。
(1)UK RoHS適用除外申請への課金法案 WTO通知
(2)UK RoHS適用除外申請への課金法案に対する意見募集
(3)電気・電子機器における特定有害物質の使用の制限規則(2012 No.3032) (オリジナル)
(4)電気・電子機器における特定有害物質の使用の制限規則(2012 No.3032) 2020年12月31日改訂版
(5)UK RoHS Shedule A2
(6)UK RoHS適用除外の申請方法ガイド
(7)UK RoHS適用除外申請への課金法案に対する意見募集の意見および政府対応のまとめ
Comments