【質問】
EUにパソコンの画像処理用のプリント基板を輸出します。 CEマーキングは必要でしょうか。
【回答】
CEマーキングは欧州経済地域及びトルコ等の欧州連合への加盟国に製品を出荷するときに必要されるマークの事で、NLF(NewLegislativeFramework)に対応させるためにRoHS指令、EMC指令、定電圧指令やRE指令などの約20種類のEU指令で要求されています。
CEマーキングの対象は、最終製品であるため、ユニットや部品はそれ自体にCEマーキングは要求されません。 その場合でも、ユニットや部品の最終製品ではない製品をRoHS指令の対象機器に組み込む場合は、組み込む企業の責任でRoHS指令の対象として、対応させる責任があります。
また、製品が部品として使用され最終製品に該当しない場合は、規制が適用されないのではなく、例えば、REACH規則が適用されます。
最終製品となるかどうかの考え方としては、PC用のグラフィックボード(プリント基板)などを、PC購入者が機能追加やグレードアップなどのために、PC購入者がグラフィックボード購入し使用することがありますが、このような状況では、グラフィックボードは最終製品とも言えます。
これと同様にプリント基板が、完成した電気電子製品として市場に供給されるか、特定電気電子製品を生産するための部品やユニットとして市場に供給される場合に、製品や部品、ユニットとして、プリント基板を輸出される場合に原則としてCEマーキングが必要になります。
プリント基板(ベアボード)は単体では電子電機製品となりませんが、半導体が実装された場合には電機電子製品となります。 その場合に、RoHS指令のほかに、低電圧指令などの他の指令の適用が必要になります。
指令に適合させるかは、プリント基板が完成した電気電子製品として(つまり、エンドユーザーが直接使用するために)市場に出されるか、完成した電気電子製品にさらに生産または統合するためのコンポーネントとして市場に出されるかによって異なります。
以下のRoHS指令、機械指令、EMC指令の対応の例を説明します。
RoHS2、2011/65/EU指令(*1)の対応
RoHS2指令では、特定有害物質の使用制限要求に関する適合性をCEマーキングで確実に証明することを求められています。
RoHS2では製造者に以下のことを要求しています。
・RoHS2の特定有害物質の非含有4条の要求による設計製造
・技術文書(TD)の作成と内部生産管理手続きの実施
・EU適合宣言書の作成とCEマーキングの貼付
・技術文書と宣言書の10年間の保存
・適合性存続のための手順の確立
・製品リコールの記録の保持と流通業者への告知の準備
・上記の手順でルーチン化し変更管理を行う
以上のようにRoHS指令第7条(e)によりマネジメントシステムを構築することでモジュールA(内部生産管理)よるCEマーキングの貼付が可能になります。
低電圧指令 2014/35/EU(*2)の対応
低電圧指令は電圧AC50~1000VあるいはDC75~1500Ⅴで作動するすべての電気機器に適応され、電気的安全を担保するための指令です。
低電圧指令のAnnexⅠ(付属書Ⅰ)には安全に関する主な要求事項が記載されています。
適応される機器は
・家庭用電化製品
・音響映像機器
・情報技術機器
・通常の事務機器
・低電圧の開閉装置および制御装置
・電動機等になります。
EMC 指令 2014/30/EU(*3)の対応
EMC は electro-magnetic compatibility の略で、電磁両立性、電磁環境両立性と呼ばれています。
EMC指令の対象は「機器」で、機器の定義は第3条で、あらゆる装置または固定設備となります。 プリント基板は、EMC指令Guideで特定の物は対象となります。 つまり、装置に組み込むためのコンポーネントであっても、それが最終製品として一般消費者向けに供給される場合には EMC 指令の対象となると考えられます。 そのため、企業のみに販売される産業用のコンポーネントもその企業自身が消費者となる場合や小売店で一般消費者向けに販売されるパーソナル・コンピュータ用のマザー・ボードなどはEMC 指令の対象となると考えられます。 さらにEMCが対象とするコンポーネント、サブアッセンブリの例としてコンピュータ用プラグインカードやUSBメモリがあります。
以上のように、プリント基板を輸出するためには、RoHS指令に他に低電圧指令やEMC指令の他の関連する指令に対応させて、CEマーキング行うことが必要であると考えられます。
*2.低電圧指令
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