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当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

執筆者の写真tkk-lab

Q612.半導体製造装置のCEマーキング対応について

2022年01月07日更新

【質問】

当社はEUへの半導体製造装置の輸出を計画しています。 半導体製造装置にはCEマーキングは不要と考えていますが、その保守用パーツについてはどういう扱いになるでしょうか? その部品は単品で輸出する可能性もあります。

 

【回答】

CEマーキングはEUに製品を輸出する場合にその製品がEU指令の要求事項を遵守していることを示すものです。 半導体製造装置の場合は、機械指令1)、低電圧指令2)、EMC指令3)などに適合していることを示します。 すなわち、半導体製造装置にもCEマーキングは必要です。 ただし、RoHS指令に関しては、多くの半導体製造装置は指令の対象から除外される「大型据付式産業用工具(LSSIT)」あるいは「大型固定装置(LSFI)」と解釈されます。 SEAJ(日本半導体製造装置協会)のサイトにRoHSに関するFAQがまとめられており4)、そのQ10にRoHS指定の対象になるかを判断するフローチャートがありますので参考にしてください。 そこでは以下のように、LSSIT、LSFIに該当する条件が示されており、該当する場合はRoHSの対象外になります。 これらの条件に当てはまらない場合は半導体製造装置であってもRoHS指令の対象となりますので注意が必要です。


【LSSIT】

(1)固定式である(専門家により据付作業が行われる固定式機器で運用中の移動が想定されない)

(2)対象物の加工や検査のための装置である

(3)以下の製品に該当するか、または同等の大きさや複雑さを有する

 ・コンピュータ内蔵NC旋盤

 ・ブリッジ式フライス盤・ボール盤

 ・電子ビーム、レーザー、高輝度光、深紫外線欠陥検知システム


【LSFI】

(1)固定式である(専門家により据付作業が行われる固定式機器で運用中の移動が想定されない)

(2対象物の加工や検査のための装置ではない

(3)以下の基準のいずれかに当てはまっている

 ・輸送時の寸法がiso20フィートコンテナ(5.71x2.35x2.39m)を超える

 ・総重量が44tを超える

 ・組立/解体に高荷重クレーンが必要

 ・設置環境の改造(基礎強化など)が必要

 ・定格出力が375kWを超える


CEマーキングは最終製品が対象ですので、O-ringのような個々の組込部品については不要ですが、システム全体の適合性を示すために技術文書の中で各部品の適合宣言書や技術文書を関連付ける必要があります。 保守用パーツについては、その装置専用の保守パーツであることを示すことが出来れば一般にCEマーキングは不要です。 しかし、単品での輸出もあるとのことですので、場合によってはCEマーキングが必要な場合があります。 例えば、単体で電気電子機器として機能する外付けハードディスクなどはRoHS指令のCEマーキング対象です。 また、プリント基板は原則CEマーキング対象です。電気電子部品でないパーツを単体販売する場合はRoHS指令の対象ではありませんが、その他の遵守すべき指令があればCEマーキングが必要となります。 また、EU製品規則の実施に関するブルーガイド(2016)5)の2.1及び2.7により、生産者は使用者に対して適合品を使うように要求する義務があります。


ちなみに、RoHSの適用除外用途見直しに関する調査プロジェクトのPack22で、以下の2項目に対して「半導体製造装置(および関連装置)で使用されている部品の入手に影響を与え、または最低でも機器の再設計を余儀なくされる。」ことを理由に、適用除外更新に賛成との意見が提出されています。


6(a):機械加工用途の鋼材および亜鉛めっき鋼中に合金元素として含まれる0.35wt%までの鉛(2020年1月に提出された2件の更新申請)


(2)6(a)-I:機械加工用途の鋼材中の合金元素として含まれる0.35wt%までの鉛とホットディップ溶融亜鉛めっき鋼中に含まれる0.2wt%までの鉛(6(a)と同様)


ここでは、半導体製造装置の製造において部品の調達に影響が出るためにこれらの適用除外を更新すべきであると意見しており、半導体製造装置自体がRoHS指令の対象となることを懸念しているわけではありません。


参考リンク

1)機械指令


2)低電圧指令


3)EMC指令


4)SEAJ EU RoHSに関するFAQ


5) EU製品規則の実施に関するブルーガイド2016(原文)

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