【質問】
EUに輸出している製品をサウジアラビア向けに輸出することを考えています。 EU RoHS指令に対応していますが、今回はサウジアラビアRoHSに対応する必要があります。 EU RoHS指令に加えて具体的に何をしないといけないのでしょうか。
【回答】
1.サウジアラビア(王国)RoHSの告示内容
サウジアラビアRoHSとEU RoHS指令((EU)2011/65)と類似していますが、異なる部分もあります。
(1)スケジュール
2021年7月9日に官報で告示(*1)され、180日後の2022年1月5日に施行されます。
正文はアラビア語ですが、英語版(*2)も告示されています。
アラビア語版と英語版で一部異なる部分がありますので注意が必要です。
なお、施行前に生産、輸入された物流在庫製品は、告示後365日(2022年7月8日)までは、販売できます。
(2)対象製品
6つの製品カテゴリをカバーしています。
1)大型及び小型家電製品
2) 情報通信技術機器
3) 照明器具
4) 電気・電子機器
5)ゲーム、娯楽機器、スポーツ用品
6)監視制御機器
適用除外製品は、以下です。
・医療機器
・兵器・軍用機器
・宇宙に送られる装置
・大型工業用工具
・大型固定設備
サウジアラビアRoHSの対象製品は、附属書 (2-b)に記載されたHSコード製品が対象となります。
(3)特定有害物質
(i)鉛 0.1重量%
(ii)水銀 0.1重量%
(iii)カドミウム 0.01重量%
(iv)六価クロム 0.1重量%
(v)ポリ臭素化ビフェニル(PBB) 0.1重量%
(vi)ポリ臭素化ジフェニルエーテル(PBDE) 0.1重量%
用途の除外は附属書(1-a)にEU RoHS指令に近いリストがあります。
(4)技術文書
サウジアラビア王国が認識する関連規格として、附属書(2-a)にIEC 63000やIEC 62321などのSASO版(サウジアラビア標準化公団(Saudi Standards, Metrology and Quality Organization)規格が記載されています。
この規格で技術文書を作成し、遵法宣言をします。
技術文書は、IEC / ISO 17067 - 適合性評価 — 製品認証の基礎と製品認証スキームのガイドラインに従って、適合性評価フォーム(タイプ1a)により行います。
技術文書の構成は以下です。
(i)製品の一般的な説明
(ii)設計図面
(iii) 技術仕様のリスト(関連規格)
(iv)テストレポート
(v)遵法のすべての裏付けとなる証拠
(vi)承認された認証機関からの評価
SASOが認証した認証機関(*3)からの評価後に、Shipment Certificate(SC)を得て輸入申請を行います。
製品には附属書(4)の供給者宣言(Supplier Declaration of Conformity)を添付します。
認証機関は、SCを得るための輸出前検査の仕組みである“Saber”(Webシステム)(*4)で、選択されます。
技術的内容はEU RoHS指令とほぼ同じですが、適合宣言の方法が異なります。
2.輸出手続き
サウジアラビア王国は輸入手続きの効率化のために、“Saber electronic platform( Saber )”(*5)による輸出事前審査が全製品に要求されています。
輸入承認はケースにより異なる部分がありますが、次のステップになります。
(i)輸入者登録と製品登録を行い、「Request Number」を入手します。
(ii)「Request Number」により、認証機関に評価を委託し、Production Certification of Conformity(PcoC)の発行を得ます。PcoC型式承認となります。
(iii) 認証機関で適合が確認できない場合は、CoC(Certificate of Conformity)を要求します。
(iv)PcoCにより輸入者がShipment Certificate(SC)を申請し受領します。
製品登録は、12桁のHS Codeになりますが、サウジアラビアRoHSの4桁のHS Codeが展開される仕組み(*6)になっています。
展開された12桁のHS Code製品に適用される技術規則が示され、その適用される技術規則の遵法情報を集めて、認証機関に申請することになります。
適用される技術規則が無い場合は、自己宣言(Self-declaration)を発行し、SCを申請します。
当説明内容は執筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制の解釈は必ず原文を参照してください。
*1:
*2:
*3:
*4:
*5:
*6:
Comments