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当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

執筆者の写真tkk-lab

Q595.EMC指令は対象としRoHS指令は適用範囲外としてCEマーキングすることは可能でしょうか。

2021年04月02日更新

【質問】

EUの企業から研究開発用の機器の引き合いが来ました。顧客の購入仕様に合わせた設計をしていますが、一つの部品に鉛を使用しなくては性能がでません。

EMC指令などは対応しRoHS指令の適用範囲外としてCEマーキングは可能でしょうか。

 

【回答】

自社の製品へのCEマーキングの適用は、その製品がEU域内において、EUのニューアプローチ指令の製品(約25の指令及び規則)に該当するのか否かで判断します。


CEマーキングは、EU運営条約の第26条の域内自由移動を根拠としているため、移動を伴わない場合は、CEマークは重要でないことになります。

一方、自由移動のためには、加盟国の基準が平準化していなくてはなりません。このため第114条で、平準化規定があり、健康、安全、環境保護及び消費者保護が要求されています。


RoHS(II)指令では、第2条(4)において適用範囲外される製品として以下が規定されています。


(a) 武器、弾薬及び特定の軍事目的のために意図されている軍事材料を含む加盟国の安全の基本的利害の保護のために必要な装置

(b) 宇宙に送られるために設計されている装置

(c) 本指令の適用範囲外もしくは適用範囲外である別の型の装置の一部として特別に設計され、固定される装置で別の装置の一部分として機能し、同じ特別に設計された装置によってのみ置き換えられる装置

(d) 大型産業用固定工具

(e) 大型固定式装置

(f) 型が認証されていない電動二輪車両を除く人または貨物用運搬具

(g) 職業用途のみに利用される非道路用の車両機械

(h) 埋め込み型移植用医療装置

(i) 一般、商業、産業、住宅用に太陽光からエネルギーを生産するために固定され、永久に使用するために専門家により設計、組立、固定されたシステムにおいて使用されるように意図された太陽光パネル

(j) 企業間(business to business)を基準に利用可能な研究開発目的のみのために設計された装置


「研究開発用の機器」に関して、上記(j)の該当の判断はRoHS(II) FAQ 1) (2012年12月12日発行)のQ4.1および4.2の*1)中で記載されている「第2条(4)(j)の説明」が参考になります。


(1) RoHS(II)指令の除外が適用される研究開発(R&D)機器 (第2条(4)(j)に該当)

・研究開発(R&D)を唯一の目的として設計され、企業間取引でのみ利用可能な機器

(2) RoHS(II)指令除外が適用されない研究開発(R&D)機器( (第2条(4)(j)に非該当)

・標準的な装置であって、R&D用途と商業用途、またはその他の用途の両方に使用できる化学分析用モニター装置や機器、その他の実験装置

・R&D機器やプロトタイプのテスト、検証、または監視するために設計および市販されている機器は、カテゴリー9(監視および制御機器)に属するため対象外


上記によると、貴社の製品が研究及び開発目的のみのために特別に設計され、研究開発を行なっている特定の顧客でのみ利用される機器であればRoHS(II)適用除外対象であると考えることができます。


一方、EMC指令(2014/30/EU)においても第2条2で「研究開発の目的のため研究開発施設においてのみ使用される専門家の為に予定されたカスタムメイドの評価用キットで上市されないもの」の場合は適用除外が定められております。ただ、極めて限定的な要件です。


適用除外の要件を満たさない場合は、EMC指令のCEマーキングが必要となります。


EMC指令は、使用時の規制が目的で、作業者保護も要求されます。例えば、第19条で固定装置は国境を移動しないのでCEマーキングは必要としないが、基準は満たすことを要求しています。*2)

EU運営条約第114条の考え方です。

この要求は、RoHS指令の該非に関わらず、廃棄後の環境汚染防止のために、WFD(指令(EC)98/2008)の要求に合わせるために、鉛を使用する部品の情報を顧客に知らせておくことが必要です。


貴社の製品が両指令の適用範囲とするか範囲外とするかは企業が決定することですが、リスク評価と管理は製造者の責務となり、その判断は明確であり、説明できなくてはなりません。説明責任(Accountability)と透明性(transparency)と言われるもので、技術文書が必要となります。

代替化ができないのであれば、技術文書で貴社が納入する製品が市場に流通する可能性があるかどうかことについて詳細に分析・検討し、指令の適用除外要件に該当するかどうか明確にしておくことが肝要です。


*1)


*2)



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