2023年10月13日更新
【質問】 EUへ輸出する販売目的ではない製品(例えば「試作品」、工場で使用することを目的に使う「治具」「機器」)についてもSCIP登録は必要になるでしょうか。 不要の場合、含有物質の有無や含有率は気にする必要はないのでしょうか。
【回答】 EUの廃棄物枠組み指令(Waste Framework Directive 2008/98/EC 以下WFD)により、CLSを0.1wt%超えて含有するEU域内へ輸入される成形品及びその複合製品は、販売目的であるか否かを問わずSCIPデータベースへの情報登録が義務付けられています1)。
従って、ご質問のいずれの成形品の場合でも、御社から必要な情報を提供してEU域内の輸入者のSCIP登録を支援することになります。
WFDの第9条1項(i)で、EU域内のすべての成形品の供給者に対して、REACH規則(Regulation (EC)1907/2006)第33条に従い、欧州化学物質庁(ECHA)に情報を提供するように要求しています1)2)。 ECHAはSCIPデータベースを構築し、2021年1月以降、成形品供給者はこのデータベースに情報提供が必要となりました。
SCIPデータベースへの登録に関して、ECHAが公開しているRequirements for SCIP notifications(SCIP情報伝達の要求事項)に解説があります3)。
Requirements for SCIP notificationsの1.2項に、登録義務の対象者として、REACH規則第3条33項に従い、EU域内の製造者や加工者、輸入者、流通者等の成形品を上市する者としています。 上市は、REACH規則第3条12項により、有償無償に関わらず第三者に提供、あるいは利用可能とすることであり、EU域外からの輸入は上市にあたるとしています。
Requirements for SCIP notificationsの1.3項に、情報提供が必要となる成形品は、CLSを0.1wt%超えて含有するEU域内で流通する成形品及びその複合製品と解説しています。 成形品及びその複合製品については、「REACH規則における成形品中の物質に関する要求事項に関する手引書」(以下「手引書」)を参照して該当する例を示しています4)。
従って、貴社からEU域内の輸入者に提供される無償の試作品や工場内で使用される治具及び機器は、上市された成形品及びその複合体に該当します。 それらがCLSを0.1wt%超えて含有する場合には、輸入者はSCIPデータベースへの登録義務があり、輸出者である貴社は登録に必要な情報提供が必要となります。
1) 廃棄物枠組み指令(Waste Framework Directive 2008/98/EC )
2) REACH規則
3) Requirements for SCIP Notifications
4) REACH規則における成形品中の物質に関する要求事項に関する手引書(Guidance on requirements for substances in articles)
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