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当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

執筆者の写真tkk-lab

Q651.RoHS指令に関するEU委員会からの通知の確認方法について

2024年10月04日更新

【質問】

RoHS指令の附属書III 6(a)で、Cat9及びCat11は、2024.7.21まで適用されると認識しています。

EU委員会の決定により2024.7.21から12から18か月後から除外規定が発効すると思っています。

EU委員会からの通知はどこで確認すればよいでしょうか。

_________________________________________


【回答】

RoHS指令の適用除外用途の状況については、EU委員会のHPに掲載されており、「適用除外リスト」で確認できます1)2)。

ご質問の附属書Ⅲ6(a)は、2024年8月の時点でEU委員会の見直し決定まで至っていません。そのため、第5条5項により「適用除外リスト」では失効日はキャンセルされて、これまでの適用除外が引き続き有効です3)。


EU委員会のHPにRoHS指令の適用除外のプロセスが掲載されています1)。適用除外の設定や見直しの手順、適用除外用途のリストや適用除外に対する技術的および科学的評価研究結果などがまとめられています。


例えば、見直し決定までのプロセスは、見直しの更新申請日から18〜24か月かかります。更新申請が提出された適用除外は、EU委員会が決定を下すまで有効です。この決定は、適用除外の新しい有効期限を示すか、更新を拒否する場合には適用除外が失効するまでに決定日から12か月から18か月の移行期間を決定しています。


ご質問の附属書Ⅲ6(a)は、適用除外として機械用鉄合金と亜鉛メッキ鋼に含まれる0.35wt%以下の鉛を規定しています。用途はカテゴリー8,9,11に限定して、用途によって失効日を定めています。

*カテゴリー8,9(体外診断医療装置、産業用監視制御装置以外):2021/7/21まで

*カテゴリー8の体外診断医療装置:2023/7/21まで

*カテゴリー9の産業用監視制御装置とカテゴリー11:2024/7/21まで


また、附属書Ⅲ6(a)-Ⅰは、適用除外として機械用鉄合金に含まれる0.35wt%以下の鉛と亜鉛メッキ鋼に含まれる0.2wt%以下の鉛を規定しています。用途はカテゴリー1~7および10で、失効日は2021/7/21としています。


この適用除外に対して、2020/1/17に更新申請が提出されたことを受けて、適用除外用途の見直し調査(パック22)が開始されました。附属書IIIの9つの適用除外用途(6(a)、6(a)-I、6(b)、6(b)-I、6(b)-II、6(c)、7(a)、7(c)-I、7(c)-II)を対象として評価され、2022/1/21に最終報告書が提出されました4)。

しかし、反対意見が提出されEU委員会での決定には至らず、パック27として追加の見直し調査が開始されました。対象は29の適用除外用途で、大半は2021年と2022年に評価されています。提出された反対意見が、適用除外の要件である第5条(1)(a)の3条件(代替技術が科学的・技術的に実現不可能、代替品の品質が保証できない。代替品の安全上の悪影響が利点を上回る)のいずれかを満たしているかを再審査しています。パック22の対象であった附属書IIIの6(a)、6(a)-I、6(b)、6(b)-I、6(b)-II、7(a)、7(c)-Iも対象として評価され、2024/6/27に最終報告書が提出されました5)。

最終報告書では、附属書Ⅲ6(a)および6(a)-Ⅰに対して以下の適用除外案が推奨されました。


附属書Ⅲ6(a)は、適用除外は機械用鉄合金と亜鉛メッキ鋼に含まれる0.35wt%以下の鉛として、対象とするカテゴリーと失効日を以下に限定しています。

*カテゴリー8の体外診断用医療装置:2023/7/21まで

*カテゴリー9の産業用監視および制御機器とカテゴリー11:2024/7/21


また、附属書Ⅲ6(a)-Ⅰは、6(a)-Ⅰ機械用鉄合金と6(a)-Ⅱ亜鉛メッキ鋼に分けて以下のように設定しています。

*6(a)-Ⅰ:適用除外は機械用鉄合金に含まれる0.35wt%以下の鉛で、全カテゴリーで2024/7/21に失効

*6(a)-Ⅱ;適用除外は亜鉛メッキ鋼に含まれる0.2wt%以下の鉛で、全カテゴリーで2026/7/21に失効


なお、附属書Ⅲ6(a)で規定されたカテゴリー8の体外診断用医療装置、カテゴリー9の産業用監視および制御機器とカテゴリー11は、附属書Ⅲ6(a)で設定された失効日の翌日から附属書Ⅲ6(a)-Ⅰまたは6(a)-Ⅱの対象としています。


パック27の報告書の公開後、パブリックコメントなどの手続きが進められていますが、現時点(2024/9/12)でEU委員会の決定はまだ公開されておらず、従前の適用除外が継続しています。


1) Implementation of the RoHS Directive


2) Exemptions list - validity and rolling plan August 2024


3) RoHS指令


4) パック22最終報告書


5) パック27最終報告書

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